小麦のガム

 麦秋、収穫期を迎えていた小麦畑が、刈り取られないまま放置され、今は色も褪せて枯れ草のようになっている(左)。穂を手に取り、揉んでみると、実は乾燥し過ぎて痩せ細っていた(右)。他人の畑のことながら、百姓家生まれの自分には、もったいなくて遣り切れない思い

 手のひらの小麦を見て、子供の頃を思い出し、口に入れて噛んでみた。
その味は、何しろ80年近く前のことだから確かではないが、少しあっさりしているようで、「昔の味」は蘇ってはこなかった。
駄目かとも思ったが、噛み続けて歩いた。歩くうちに、あの感触が徐々に戻ってきた・・・、口の中にガム状のものができたのである。デンプン質は溶けて胃に入り、タンパク質のグルテンが残ったのだ。生地の子供たちの間で伝わる『遊び』の一つである。

 Netに、戦時中、これをガムの代用にしたらしいとの記事があったが、間違いなく冗談話だろう。
自分がチューイングガムを口にしたのは戦後小学4年生で、進駐軍関係の仕事をしていた家の子に貰って食べた()のが最初であった。初めて知ったアメリカ文化であり、またカルチャーショックだった。

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(小麦) 



画像 遊びや釣りなど、多くのものを年長の子から教わった。正確に言えば、殆どのものは、教わったのではなく、年上の子がすることを見て真似たのだった。

子供間で伝承される文化には、食べること(口に入れてみること)が多かったような気がする。上記の小麦もそうだし、()の苗代イチゴ、スカンポ、つばな、アケビ、蜂の幼虫(ウジムシ)、等々・・・

今は、小さいうちから、保育園や幼稚園に行くから、年齢差が殆どない子と遊ぶことが多いだろうし、またTVもあるから、子供間で伝承される子供文化も少なくなったのではないか。

年齢差の開いた子供集団では年齢による能力差が大きいから、文化の伝承だけでなく、年長年少それぞれが立場をわきまえ社会性を身につける場でもある。昔、引き籠もりや不登校など、聞いたことがなかったのも、そんな子供集団ばかりの農村だったからかもしれない。



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(カノコガ)

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